人称代名詞

人称代名詞

先日筆者が日本へ一時帰国をし、地元の駅のプラットフォームのベンチに座って電車を待っていたときのことです。
「よお!○○(筆者の名前)じゃん!久しぶり!」と男性から突然声をかけられました。
「おっ……おう、ひさしぶりだな……(誰だっけな)」
こんな経験をしました。

とっさに彼の名前がでてこなかったので、とりあえず「お前」呼ばわりしてことをやり過ごしました。
日本では、基本苗字か名前を呼ぶのが一般的ですが、ときとしてこのようなヒヤッとする事態もあります。
筆者がベトナム語って便利だなあー、といつも思うのが、「相手の名前を呼ぶ必要がない」ことです。

便利な人称代名詞

日本語にも「あなた」、「彼(彼女」といった代名詞がありますが、会話の中で使うことはほとんどありませんね。
ゆえに、冒頭のような事態が起こります。
しかし、ベトナムでは、基本は名前ではなく人称代名詞で相手を呼びます。
というのも、ベトナム人は苗字、ミドルネーム、名前と3つあり、名前はさらに長くなる場合もありますので、覚えきれないのです。

ベトナム語で覚えておきたい人称代名詞は「anh(アン)」と「chi(チィ)」と「em(エム)」です。

anh……こちらは男性に対して使う言葉です。同年代もしくは年上の男性には「anh(アン)」と呼びます。
chi……こちらは女性に対して使う言葉です。同年代もしくは年上の女性には「chi(チィ)」と呼びます。
em……こちらは年下の男女、及び男性が恋人である彼女に使う言葉です。「em(エム)」と呼びます。

相手を呼びかけるときは、「人称代名詞+oi(オ(-)イ)」と言います。
例えばレストランで、料理を注文する際、ウェイターを呼ぶときは「anh oi!(アン オーイ)!」と言います。

分かりづらい一人称

英語では一人称は、相手が誰であろうと「I」でOkですね。
しかし、ベトナム語では、相手の年齢によって一人称が変わります。
ただし、これも上記の「anh(アン)」と「chi(チィ)」と「em(エム)」を用います。

例えば、相手が年上の場合は、上記から相手の人称代名詞は「anh」となりますので、自分は年下の意味である「em」を使います。
相手がどう見ても年下であれば、自分が男性の場合は「anh」、女性の場合は「chi」を一人称に使うことになります。
つまり、初対面の相手と話すときは、相手が自分よりか年上なのか、年下なのかを見た目で判断しなければなりません。
相手の女性が自分よりも年下にも関わらず、「chi」と呼んでしまうと、(私はそんなに年とってないし)と思われてしまいます。
逆に相手が自分よりも年上にも関わらず、「em」と呼んでしまうと、(私の方が年上なのよ!失礼ね)と思われてしまいます。

旅行者は「Toi(トイ)」ですべてOK

ベトナムに住んでいる在住外国人は、みなさん上記の人称代名詞をしっかりと使い分けています。
しかし、旅行者の方にはちょっと分かりづらいですね。
そこで、おすすめしたいのが「Toi(トイ)」です。

「Toi」は「私」という一人称です。ベトナム人の間ではハノイの人がよく使う言葉のようです。
ただし、身内や友人のような親しい間では、ベトナム人は決して使うことがありません。
「Toiと言われると、何だか関係が薄いような気がする」、「距離が離れてる感じがして絶対嫌だ」と言うのがベトナム人です。
ベトナム人がToiを使う場面は、主にビジネス関連ですね。会社などでは、一人称はToiを使います。

ちなみに、Toiはあくまでも一人称単数のみ使用可能。つまり「私」を表したいときのみです。
二人称、三人称は使えませんのでご注意ください。

三人称

三人称は彼(彼女)ですね。
ベトナム語では、「二人称+ay」で表します。
例えば、相手が年上の女性の場合は、「Chi ay(チィ エイ)=彼女」となります。

二通りの「私たち」

例えば、友人と二人でベトナムのとあるホテルに宿泊したときの話。
レセプションのホテルスタッフに「おでかけですか?」と愛想よく訊かれたとしますね。

「私たちはレストランに行きます」と言いたい場合、ベトナム語では「Chung toi se di nha hang(チュントイ セー ディー ニャーハン)」、もしくは「Chung ta se……」の二通りの言い方があります。

「chung toi」も「chung ta」も両方「私たち」という意味の一人称複数ですが、もし後者の「chung ta(チュンター)」を使ってしまった場合、この場面での「私たち」は、ホテルスタッフも含まれることになります。
つまり、「あなたも含めた三人でレストランに行きます」となってしまい、ホテルスタッフは(え?俺勤務中なんだけど……)と思うことでしょう。

対して、「chung toi(チュントイ)」であれば、自分と自分の友人の二人だけが含まれていて、対話している対象は含まれません。
最初はこの使い分けが咄嗟にできないことが多いですが、旅行者がベトナム人と話すときの「私たち」は「chung toi」のみとなります。
逆に「あなたも含めて一緒に~しよう」という場合のみ、「chung ta」を使うと覚えておきましょう。

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